知っておきたい住宅の寸法の基準「モジュール」とは|寸法を決めるポイントも解説
家を建てることを検討するときに、知っておきたい用語に「モジュール」があります。モジュールとは住宅の基本的な寸法(単位)のことであり、理解しておくことでスムーズに間取りを検討できます。この記事では、モジュールを含めた寸法について詳しく解説します。併せて、適切な寸法の選び方や家づくりのポイントも紹介しますので、住宅の購入を検討している方は参考にしてください。
住宅の寸法の基本となる「モジュール」
尺モジュールとは
モジュールとは、住宅の設計時や建築時に基準となる寸法のことを言います。日本の住宅では、昔から「910mm(91cm)=3尺」とする「尺モジュール」が使われ、設計図では3尺×3尺を1マスとします。例えば、「部屋を1マス分、長くする」と言った場合、「部屋の長さを3尺(910mm)分、長くする」ことを意味します。住宅を建てる際に、住宅メーカー・工務店の担当者が頻繁に使う言葉ですので、理解しておくことで打ち合わせがスムーズに進みます。
「1メーターモジュール」とは
尺モジュールの他に、使われているのが「1メーターモジュール」です。1メーターモジュールは、1000mm(1m)を基本とする寸法で、設計図では1m×1mを1マス(グリッド)とします。同じ1坪でも、メーターモジュールは尺モジュールより20%ほど広くなり、その分、建物全体が大きくなります。そのため建設コストが高くなる傾向もありますが、メーターモジュールはユニバーサルデザインやバリアフリーの住宅などを設計しやすいことから、導入を検討する住宅メーカー・工務店も増えてきてはいます。しかし、建材や設備品など尺モジュールを基準としているものの流通量がまだまだ多い為、ユニバーサルデザインより、施工しやすさを優先し1メーターモジュールの導入をためらう会社もあることも事実です。なお木材の寸法はメーターであり、尺モジュールでの家づくりでは、尺寸に合わせるように木材をカットしています。
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「坪」とは
縦1間×横1間の空間面積のことを、「1坪」と言います。1間は約1.82mなので、1坪は約1.82m×約1.82mで、約3.3124㎡の広さになります。この坪という単位も、住宅の広さを表す単位として頻繁に使用されています。
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メートル法と尺貫法の換算方法も知っておこう
長さの単位であるメートルを扱うメートル法では「1mmの10倍が1cm」「1cmの100倍が1m」「1mの1000倍が1km」と単位が変換されます。一方、尺を扱う尺貫法では「1寸の10倍が1尺」「1尺の6倍が1間(けん)」です。つまり、「3尺」を尺貫法の他の単位に変換すると、「30寸」や「半間(はんげん)」になります。ちなみに、1尺は約0.303030m、1間は約1.818182mです。
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快適な住まいには適切な寸法が重要
快適な住まいを手に入れるために必要な寸法の目安は、あるのでしょうか? 寸法を決めるポイントについて解説します。
階段の寸法
階段の寸法は、勾配(階段の傾き加減。急さ)に大きく影響します。勾配が急になるほど、上り下りの時に体にかかる負担は大きくなります。階段は毎日使用するので、使いやすさを考えて寸法を決めることが大切です。
階段の寸法は建築基準法で決まりがある
階段の寸法は、建築基準法施行令で建物(の用途)ごとに決まりがあります。一般住宅の場合、階段寸法は、階段の1段の高さ(蹴上)23cm以下、階段の1段の奥行き(踏面)15cm以上、階段と踊り場の幅75cm以上と決められています。この寸法以上であれば違法ではありませんが、実際にはこの寸法ぎりぎりの階段は、勾配が急過ぎて使いにくくなってしまうことが多いです。
使いやすい階段にするポイント
一般的に標準的な日本人の歩幅に合っていて上り下りしやすい階段の寸法は、公共建築物等の場合、階段の1段の高さ(蹴上)の2倍に階段の1段の奥行(踏面)を足すと、60cmになる寸法だと言われています。例えば、蹴上15cm、踏面30cmの階段です。
住居の階段の場合、住宅性能表示の高齢者への配慮の中から「階段の安全性」等級5では、55㎝≦蹴上げ×2+踏み面≦65㎝、踏み面≧20.3㎝、勾配≦6/7、蹴込み≦3㎝、蹴込版設置の他、廻り階段の形状を設定しています。また高齢者や子供、足が不自由な家族など、その家に暮らす人のことを考慮した階段をつくることで、全員にとって暮らしやすい家になります。
浴室の寸法
ユニットバスのサイズは「1216サイズ」「1616サイズ」「1618サイズ」「1818サイズ」「1620サイズ」など、4桁の数字で表記されています。1216サイズは浴室の内寸面積が1200mm×1600mm、1616サイズは浴室の内寸面積が1600mm×1600mm、1620サイズは浴室の内寸面積が1600mm×2000mmです。1616サイズと1620サイズは浴槽の大きさが同じで、洗い場の面積が1620サイズの方が大きくなっています。一般的に使用されることが多いのは、1616サイズです。
使いやすい浴室にするポイント
浴室も毎日使用するものですので、使いやすさを考えて寸法を決めたいところです。家族で一緒にお風呂に入りたい場合や介護がある場合は、洗い場の広い1620サイズを選ぶとよいでしょう。ただし、広いお風呂は、その分、掃除の手間がかかることに加え、脱衣所や洗面所の面積を圧迫する場合があります。これらデメリットも考慮し、生活スタイルに合わせて広さを決めましょう。
トイレの寸法
トイレの寸法も、暮らしやすさに大きく影響します。戸建て住宅の場合、一般的なトイレの広さは内寸で78cm×169cm(0.5坪)程度です。123.5cm×169cm(0.75坪)程度にすると、ゆったりとした空間を感じることができます。狭小住宅などでは、78cm×123.5cm(0.375坪)程度の広さにする場合もあります。また、同じ面積であっても、トイレタンクの有無や手洗い場の有無によって、感じる広さは違ってきますし、適切な広さも異なります。
タンクの有無
一般的なタンク付きのトイレのサイズは、床からタンクの上までの高さが100cm程度、便器の幅が45cm程度、便器の奥行き(便器の手前からタンクの奥まで)が80cm程度です。一方、一般的なタンクレストイレのサイズは、床からの高さが55cm程度、便器の幅が40cm程度、奥行70cm程度です。トイレの広さが78cm×169cm(0.5坪)以上あれば、タンク付きトイレも狭さを感じることなく設置できます。
バリアフリー対応
バリアフリー対応のトイレにするには、一般的に0.75坪以上のスペースが必要だと言われています。介助が必要な場合や車いすのまま入れるトイレにするには、さらに広いスペースが必要です。また車いすのまま入れるトイレにするには、奥行きは180cm以上、出入り口の幅は80cm以上あるとよいでしょう。
トイレ内に手洗い場を設置する場合
手洗い場を設置する場合は、トイレの広さに合った手洗い器を選びましょう。具体的には、0.4~0.5坪のトイレの場合は、奥行き25cm以下のコンパクトな手洗い器がおすすめ。0.75坪以上のトイレの場合は、奥行き25cmを超える大型の手洗い器も、狭さを感じることなく設置できます。
使いやすいトイレにするポイント
使いやすいトイレにするポイントは、使用したい便器を決めてから、必要なトイレの広さを決めることです。便器の大きさと必要最低限なトイレの広さは、便器の先からドアまで40cm以上、便器の両側に壁まで15cm以上の空間がとれる広さです。これよりも空間的な余裕を確保できるのが理想です。また、ペーパーホルダーの位置や手すり設置等も使いやすさに大きく影響します。実際に座る位置を確かめてから、手を伸ばしやすい位置に取り付けるようにするとよいでしょう。
収納の寸法
収納の寸法では、収納するものによって適したサイズが異なります。服をメインに収納する場合は、人の肩幅を考慮して奥行きは50cm以上が目安。布団なども一緒に収納する場合は、奥行き78cm以上が目安です。また、通路の両側に服を収納できるウォークインクローゼットにする場合は、両側の収納スペースとして必要な50cm+50cmに、通路として必要な60cmを加えた、合計160cm程度の幅が目安となります。
使いやすい収納にするポイント
前述した通り、使いやすい収納にするポイントは、収納するものによって適したサイズにすることです。そうすることで、部屋を効率よく使用することもできます。また、収納の使いやすさは、配置する位置も大きく影響します。日々の暮らしの動線や他の家具の位置もイメージして、収納をつくるのがおすすめです。
扉の寸法
扉(ドア)の標準的なサイズは、横幅68cmです。トイレドアは少し狭い、横幅63cmのものもよく使われています。
扉を決めるときの注意点
扉のサイズを決めるときの注意点は、人や物が実際に通れる幅は扉の幅よりも小さくなるということです。扉の開閉部には枠を設置するため、その分、人や物が通れる幅は狭くなります。さらに、開き戸は180度開かないタイプも多く、その場合は、扉の厚みにより通れる幅はさらに狭くなります。そのため、大きな家具などが通るかどうかも注意が必要です。なお、通れる幅をできるだけ広くしたい場合は、引き戸も検討するとよいでしょう。
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まとめ
この記事では、住宅を建てる際に住宅メーカー・工務店の担当者との打ち合わせで耳にしたり、資料などで目にしたりすることも多い「寸法」について、解説してきました。快適な家づくりには、階段やトイレ、収納、扉など、それぞれを適切な寸法で設計することが欠かせません。完成後の暮らしをできる限り具体的にイメージして、それを住宅メーカー・工務店の担当者にしっかり伝えるとよいでしょう。
日本ハウスHDでは、1メーターモジュールを取り入れ、ユニバーサルデザイン・バリアフリーにも対応しています。本当に住みやすい家づくりを行っています。新築・リフォームともに、お客様との綿密なコミュニケーションを大切にし、専属の棟梁・職人が責任を持って、「理想の家」の実現をお手伝いします。ぜひご相談ください。
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