断熱等性能等級4とは?新設予定の等級5やその他の基準値との違いも解説
この記事では、新築住宅の購入を検討している人に向けて、断熱等性能等級4とはどのような基準なのか、他の基準値との違いも分かるように解説します。そもそも断熱等性能等級は、国土交通省が新築住宅の温熱環境(温度感覚を左右する環境)を評価するために定めた指標です。これまでは等級4が最高ランクでしたが、2022年4月に等級5が、2022年10月には戸建住宅のみ等級6・7が新設されるなど注目が集まっています。住宅の性能には、断熱性の他に気密性もとても重要です。断熱と気密両方の基準を知り、新築住宅を購入する時の参考にしてください。
断熱等性能等級とは
国が定めた新築住宅を評価する際の基準の1つ
断熱等性能等級は、国が定めた法律の中で規定されている住宅性能表示制度の中の評価基準の1つです。住宅性能表示制度では、さまざまな評価基準が設けられており、その中の1分野「温熱環境」の中で、「断熱等性能等級」と「一次エネルギー消費量等級」が示されています。
この2つの等級では、外皮(屋根や外壁、床、窓やドア等の開口部など建物の表面)の断熱性能、冷房期に日射を遮蔽(しゃへい)する対策など、住宅外皮の省エネ性能について評価しています。
断熱等性能等級は1~7の7段階、一次エネルギー消費量等級は1~6の6段階評価となっており、数字が大きいほど対策がされていて住宅性能が高いことを表します。断熱等性能等級5、一次エネルギー消費量等級6は2022年4月に、戸建住宅のみ断熱等性能等級6・7が2022年10月に新設されました。
なお、日本は地域によって気温や気候が大きく異なることを踏まえ、国内を気象条件によって8つの地域に区分し、建設地の気象条件に合わせて評価基準が設けられています。
(出典・引用:国土交通省|「新築住宅の住宅性能表示制度ガイド」令和4年10月1日施行版
※https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001594049.pdf)
住宅性能表示制度とは
住宅は、一般的な消費者にとって品質の評価が難しい商品です。そこで誰もが品質を評価できるよう、国土交通省による「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」に基づく制度として、住宅性能表示制度が制定されました。これにより、第三者機関が住宅性能を正しく評価できるようになりました。
住宅性能表示制度では、評価する分野を10種に分けています。その中で特に重要な必須分野として「構造の安定」「劣化の軽減」「維持管理・更新への配慮」「温熱環境」の4つを挙げています。構造の安定は、耐震・耐風・耐積雪に関する対策。劣化の軽減は、住宅の性能劣化に関する対策。維持管理・更新への配慮や、維持管理のしやすさに関する対策。温熱環境は、前述した通り、断熱や省エネに関する対策です。
つまり、断熱性能は住宅の性能において、耐震性などと並んで「最重要」とされているのです。
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断熱等性能等級4とは
国の基準としては高い断熱性能
断熱等性能等級4は、2022年4月に新設された等級5に次ぐ、高い断熱性能であることを示します。国土交通省は、長期にわたって良好な状態で住める住宅を「長期優良住宅」として認定していますが、等級4はその認定基準になっています。
等級は、数字が大きいほど、新しく制定された基準による等級であり、断熱性能も高くなります。等級4は、1999年の次世代省エネルギー基準により定められました。
出典:国土交通省|「新築住宅の住宅性能表示制度ガイド」令和4年10月1日施行版
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001594049.pdf
出典:国土交通省|長期優良住宅 認定制度の概要について
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001582602.pdf
等級1~等級7の違い
等級1~等級7にどのような違いがあるか解説します。省エネルギー基準が改定されるタイミングで断熱性能に関する評価も見直されてきました。それらに応じて、等級1~等級5にも違いが出ています。
等級3が定められたのは、旧省エネルギー基準から新省エネルギー基準へと改定されたタイミングです。ここから断熱性能が重要視されるようになりました。
断熱等 性能等級 |
制定年 | 省エネルギー基準 | |
---|---|---|---|
等級1 | – | – | 無断熱。省エネへの対応なし |
等級2 | 1980年 | 旧省エネルギー基準 | 断熱を含めた省エネ性能のレベルは低い |
等級3 | 1992年 | 新省エネルギー基準 | 断熱などにより、一定レベルの省エネ性能を確保できる性能 |
等級4 | 1999年 | 次世代省エネルギー基準 | 壁や天井だけでなく開口部には複層ガラスを使用しなければ いけないなどの規定が追加 |
等級5 | 2022年 4月 |
ZEH基準の水準 | 外皮平均熱貫流率に対して、4級よりも高い性能を設定 |
等級6 | 2022年 10月 |
省エネ基準比 エネルギー消費量▲30% |
一次エネルギー消費量の削減率が約30%可能な状態。 ここから高性能住宅と呼ばれることが多い。 |
等級7 | 2022年 10月 |
省エネ基準比 エネルギー消費量▲40% |
一次エネルギー消費量の削減率が約40%可能な状態。 暖房が無くても快適に過ごせるレベル。 |
2022年4月に等級5が新設されました。
2022年4月に等級5が新設されました。これによって等級4は、最高等級から最低限必要な等級へと変わります。2025年(令和7年)からは、等級4以上が義務化され、等級3以下の住宅は建てられなくなります。 新設の背景には、等級4の断熱性能が十分とは言えないレベルであり、省エネを実現する快適な住宅としては、等級4を上回る性能が必要だからです。 さらなる高性能な省エネ住宅の普及を目指し、国土交通省は、2022年10月に戸建住宅のみ等級6、等級7を新設しました。また、経済産業省も「2030年時点でZEHの住宅を標準的な住宅とする」ことを目標に掲げているなど、断熱性能を含む住宅の品質基準は、今後も高まっていくことが予想されます。
等級4と等級5の違い
等級5は、断熱等性能等級より高水準の基準である「ZEH(ゼッチ)」相当の断熱性能になります。なお、ZEHよりもさらに高水準の基準として「HEAT(ヒート)20」があります。ZEHとHEAT20については、後述します。
等級4と等級5は、断熱性能に直結する断熱材の厚み一つとっても違います。例えば、天井と壁の断熱材の厚みについては、等級5は、等級4の約1.2倍の厚さが求められます。
今後、住宅を新築しようと考える際には、断熱等級4以上の高いレベルの断熱を検討する必要があるのです。
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今後、家を建てる際に参考にしたい基準
断熱等性能等級より高水準のZEHとHEAT20について、解説します。ZEHとは、外皮性能を省エネルギー基準(断熱等性能等級)より高く設定することに加え、住宅の消費エネルギーを太陽光発電などでまかなうことを考慮した基準です。ZEH、ZEH+などのグレードがあります。HEAT20とは、日本の断熱基準を大きく超える、世界レベルの基準をもとに設定された住宅性能基準です。G1、G2、G3の3つのグレードがあります。
それぞれの断熱性能の水準の高さを、UA(ユーエー)値で並べたのが下表です。UA値とは、外皮平均熱貫流率のことで、外皮(屋根や外壁、床、窓やドア等の開口部など建物の表面)をつたわり、住宅全体の熱が外へどれくらい逃げやすいかを表した数値です。UA値が小さいほど熱を逃がしにくく、断熱性能が高いと言えます。
断熱性能 | UA値(W/m2K) | |
---|---|---|
高 | HEAT G3 | 0.26 |
HEAT G2 | 0.46 | |
ZEH+ | 0.5 | |
HEAT G1 | 0.56 | |
ZEH | 0.60 | |
断熱等性能等級4 | 0.87 | |
断熱等性能等級3 | 未設定 | |
断熱等性能等級2 | 未設定 | |
低 | 断熱等性能等級1 | 未設定 |
※地域区分6の数値をもとにしています
会社によってはすでに断熱性能等級5又は等級6・7の基準で施工している
前述した通り、断熱性能等級4は十分な断熱性能を有しているとは言えません。これから新築を購入するなら、断熱性能等級5相当以上、出来れば6や7を選ぶのがおすすめです。
どの断熱性能の基準に沿って施工しているかは、住宅メーカーや工務店ごとに異なります。ホームページなどで、ZEHやHEAT20の基準で施工していることを紹介している会社であれば、断熱性能等級5相当以上の断熱性能基準で施工している可能性が高いです。会社を選ぶ際の判断基準にするとよいでしょう。
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断熱性能を確認する方法
上記で紹介したように住宅メーカーや工務店のホームページを見に行くと、UA値の他にも、C値(住宅全体にどれくらいすき間があるかを示す数値)やQ値(住宅全体の熱がどれくらい逃げやすいかを示す数値)など、断熱性能に関する数値が登場します。これらの知識も身に付けることで、より正確に判断できるようになります。また、建築士が建築主に対して省エネ性能(断熱性能)に関して説明することが義務付けられているので、分かるように解説してもらうこともできます。
他にも、第三者的な立場の調査会社に図面調査や現地調査を依頼することで、断熱性能を判断する方法もあります。しかし、調査で問題があることが判明しても、施工後に対応できる範囲には限りがあることには、注意が必要です。
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快適な家を建てるために必要なこと
断熱性能の高い暖かい住宅は、一年を通じて快適に過ごせます。逆に、断熱性能の低い寒い住宅は、部屋間の温度差によるヒートショックなどの健康面のリスクが高くなる可能性があります。快適な家に住みたいと思う人は、より断熱性能の高い住宅を買うことをおすすめします。
ただし、実際の「快適さ」は断熱性能だけでは十分ではありません。断熱性能に加えて、気密性や日射量、湿度などに対しても高性能であることがポイントです。自然素材である木材を高い技術で使用した住宅は、これら「快適な家のためのポイント」を満たすことができる住宅です。
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まとめ
この記事では、断熱等性能等級4に加え、新設の等級5、ZEH、HEAT20についても解説してきました。繰り返しになりますが、等級4相当の断熱性能では不十分であり、国も等級4を超える断熱性能を持つ住宅の普及を進めています。これから新築を購入する場合は、等級5のZEH相当又は等級6・7、HEAT20のG2・G3の基準から選ぶことをおすすめします。
日本ハウスHDでは、耐久性の高い桧をはじめとした木材を使った在来工法に、日本国内の最高水準とも言える「HEAT20 G2」「ZEH+」の断熱性能を組み合わせた、冬暖かく夏涼しい高断熱高気密の家づくりを行っています。断熱性能の高い住宅に興味がある方は、カタログや展示場をぜひご利用ください。
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