住まいのコラム

UA値とは?C値・Q値との違い、それぞれの算出方法などを解説

メインビジュアル

新築住宅の購入や建築を検討している人に向けて、この記事では家づくりで極めて重要な数値となる「UA値」を解説します。UA値は、住宅性能を表す数値の1つであり、同様の数値には「C値」「Q値」があります。UA値が重要である理由に加えて、C値・Q値との違い、それぞれの算出方法などについても紹介します。参考にしてください。

UA値とは?

UA値とは?

住宅性能を表す数値の1つである「UA値」は、「外皮平均熱貫流率」のことです。熱は、高いところから低いところへと移動する性質があり、UA値(外皮平均熱貫流率)は、住宅内部と外部の温度差が1度あるときに、内部から外皮(屋根や外壁、床、窓やドア等の開口部など建物の表面)を伝わって、外部へと逃げる熱量の合計を外皮面積で割った数値です。つまり、住宅内の熱の逃げやすさを示しています。“逃げやすさ”なので、UA値が小さいほど熱が逃げにくく、断熱性能の高い・省エネルギー性能が高い住宅となります。2013年の省エネ基準改正から、Q値にかわる指標として、UA値が用いられるようになりました。

新築時にUA値を理解しておくべき理由

新築時にUA値を理解しておくべき理由

新築住宅の購入や建築時にUA値を理解しておくことで、よりよい家を手に入れることができます。その理由を解説します。

家の断熱性が分かる

UA値を理解しておくことで、断熱性を判断できるようになります。断熱性とは、断熱材などを使用して、住宅内部から外部へ、または外部から内部への熱の移動を遮断する性能のことです。高い断熱性能を持った家は、一年を通して室内を一定の温度に保ちやすく、部屋間の温度差が少なくなることで冬場のヒートショック対策になるなど家族の健康につながる他、暖冷房効率がよくなることで省エネ(節電)への効果も期待できます。さらに結露が発生しにくく、カビや腐朽(腐ること)を抑制できるなど、住宅の耐久性が向上するというメリットもあるなど、断熱性は快適な住まいをつくるために欠かせない性能です。

省エネ基準の変更により、UA値の重要性が増した

前述した内容からも分かるように、UA値はこれからの家づくりに欠かせない指標です。また、断熱性と合わせて、省エネ性能を考える際にもUA値は重要になります。
省エネ法の改正(改正建築物省エネ法)により、2021年から300m2未満の新築住宅を建てる際は、建築士が建築主に対して、国が地域ごとに定めた基準のUA値を満たしているかどうか説明することが義務付けられました。
また、国が推奨し、補助金制度なども行っている省エネ住宅の基準「ZEH」「HEAT20」でも、それぞれUA値が定められているなど、UA値の重要性が高まっています。

ZEHとは

「ZEH」とは、ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(Net Zero Energy House)の略称です。断熱性・気密性が高い外皮と高効率な(暖冷房)設備によって、室内環境を良い状態に保ちつつ、太陽光発電などを利用し一次エネルギー収支ゼロ(消費量≦生産量)を目指した住宅のことを言います。このZEHが定める基準の1つとしても、UA値が用いられています。なおZEHでは、H28省エネ基準よりもワンランク上のUA値の基準を定めています。

HEAT20とは

「HEAT(ヒート)20」とは、住宅における断熱基準の名称で、日本を8つの地域に区分し、それぞれの気候に適した断熱性能の基準値を定めて、グレードで評価しています。断熱性の高さを示す数値として、UA値を用いています。なおHEAT20では、ZEHよりもさらに高い(厳しい)UA値の基準となっています。つまり、求める断熱性能(UA値の厳しさ)は、H28省エネ基準、ZEH、HEAT20の順に高くなっていきます。

UA値の地域ごとの基準

UA値の地域ごとの基準

日本は外気温の地域差が大きいため、全国を8つの地域に分けて、それぞれの地域ごとにUA値の基準を定めています。そのため、UA値がいくつだと「断熱性能の高い住宅」と言えるかは地域によって異なります。
新築住宅を建てる際には、その地域の基準値を満たす(定められたUA値以下にする)ことが求められます。詳細は、国土交通省の建築物省エネ法にて公表されていますが、以下でも解説していきます。

全国8つの地域区分

各地域の外気温の傾向や使用されている設備機器などの実態を踏まえ、全国を8つの地域に区分しています。8つの地域区分は、下図の通り色分けされた日本地図で、おおまかに確認できます。

UA値の色分け地図

1地域(旭川市)、2地域(札幌市)、3地域(盛岡市)、4地域(仙台市)、5地域(宇都宮市)、6地域(東京23区)、7地域(長崎市)、8地域(那覇市)となっており、カッコ内はその地域区分に含まれる都市の一例です。

出典:
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001345409.pdf
(国土交通省「地域区分の見直し」)

市町村ごとの地域区分

上図の色分けからも分かるように、地域区分は都道府県ごとではなく、市町村ごとに確認する必要があります。また、地域区分は「見直し」が行われているため、2021年(令和3年)4月1日以降に建築確認や届出を行った場合は、「新地域区分」に基づく必要があります。新地域区分の詳細については、下記の出典をご確認ください。

出典:
https://www.mlit.go.jp/common/001500182.pdf
(国土交通省による地域区分新旧対照表)

UA基準値

地域区分ごとにUA基準値が定められており、その値以下のUA値であれば「断熱性能の高い住宅」と言えます。H28省エネ基準、ZEH、HEAT20、それぞれの地域区分ごとのUA基準値は次の通りです。

・H28省エネ基準
地域区分1・2⇒UA基準値0.46、3⇒0.56、4⇒0.75、5・6・7⇒0.87、8⇒設定なし
・ZEH
地域区分1・2⇒UA基準値0.4、3⇒0.5、4・5・6・7⇒0.6、8⇒設定なし
・HEAT20(※もっとも低いグレードであるG1の場合)
地域区分1・2⇒UA基準値0.34、3⇒0.38、4⇒0.46、5⇒0.48、6・7⇒0.56、8⇒設定なし

出典:
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/shoenehou_assets/img/library/jutaku_performance.pdf
(国土交通省「住宅性能表示制度における省エネ性能に係る上位等級の創設」)

UA値とC値・Q値の違い

UA値とC値・Q値の違い

新築時には、UA値と同様に「C値」「Q値」という値についても理解しておくとよいでしょう。それぞれを簡潔に解説します。

C値とは

C値とは「相当隙間面積」のことで、住宅全体にどれくらい隙間があるか、気密性能を表す数値です。C値が小さいほど隙間が少なく、「気密性の高い住宅」ということになります。気密性の高い住宅は、内部の暖まった空気が外へ流れ出にくく、外気も入ってきにくいというメリットがあり、断熱性能を示すUA値と同様に住みやすさや省エネに大きく関係します。UA値とセットでC値も確認することが大切です。

Q値とは

Q値は、以前使われていた断熱性能を表す数値です。「熱損失係数」のことで、住宅全体の熱がどれくらい逃げやすいかを表します。“逃げやすさ”なので、Q値が小さいほど熱が逃げにくく、「断熱性能の高い住宅」ということになります。UA値との違いは換気による熱の損失を含む点と、建物の延べ床面積のみで算出する点で、算出方法、評価ともに違いがあります。2013年の省エネ基準改正により、Q値に代わってUA値が用いられるようになりましたが、今でも活用しているメーカーが多く存在します。

UA値・C値・Q値の算出方法

UA値・C値・Q値の算出方法

UA値の算出方法

UA値は、「UA値=建物の熱損失量の合計÷延べ外皮面積」という計算式で求められます。つまりUA値は、外皮(建物を表面)1㎡当たりで、平均して何wの熱が逃げるかを算出しており、換気による熱損失は考慮していません。UA値の値が小さいほど熱が逃げにくく、断熱性能が高い(省エネルギー性能も高い)ことを表します。

C値の算出方法

C値は、どのくらいの空気が室内から外部へ流出するのかを住宅の床面積で割って算出します。計算式は「C値=住宅全体の隙間面積÷延べ床面積」で求められます。C値が小さいほど隙間が少なく、気密性能が高いことを表します。実際に1棟1棟測定した値から算出します。

Q値の算出方法

Q値は、「Q値=(各部の熱損失量の合計+換気による熱損失量の合計)÷延べ床面積」という計算式で求められます。建物の中と外の温度を1度と仮定したときに、1時間当たりにどれくらいの熱量が住宅内部から外部へと逃げていくかが分かります。Q値が小さいほど熱が逃げにくく、断熱性能が高いことを表します。

これからの家づくりは断熱性・気密性・省エネを意識することが重要

これからの家づくりは断熱性・気密性・省エネを意識することが重要

これからの家づくりは、デザインや設備だけでなく、住みやすさや省エネも意識して、断熱性や気密性に着目することが欠かせません。H28省エネ基準、ZEH、HEAT20などにより、基準は定められていますが、住宅メーカーによって「どの基準を採用しているか」は異なります。そのため、依頼する側にも知識が求められます。
断熱性や気密性を表すUA値、C値、Q値の違いを理解するとともに、H28省エネ基準、ZEH、HEAT20それぞれのUA基準値なども参考にして、依頼する住宅メーカーや工法を選ぶとよいでしょう。

まとめ

まとめ

UA値を中心に、住宅性能を判断するために必要な主な数値を解説してきました。H28省エネ基準は、いわば「最低限」の基準値であり、より高い快適性を求めるなら、ZEHやHEAT20基準の家づくりがおすすめです。

日本ハウスHDでは、耐久性の高い檜を使った軸組(在来)工法に、日本国内の最高水準とも言える「HEAT20 G2」「ZEHプラス(ZEHの上位基準)」を満たす家づくりをしています。
一般的な住宅とのUA値を比較すると、一般的な住宅の基準が0.46W/m2Kに対して、日本ハウスHDの住宅の基準は0.37W/m2K以下(最高クラスは0.25W/m2K)と、高水準の断熱性能を誇ります。新築完成時にはUA値、C値の値を証明する住宅性能認定証を発行し、安心の形としてお渡ししています。
暖かさと温かみを兼ね備えた住宅に興味がある方は、カタログや展示場をぜひご利用ください。